京都ソンディ研究会

 ハンガリー生まれの精神科医レオポルド・ソンディ(1893-1986)は,フロイトやユングに続く「第3の男」として,その名を知られる。彼は,人間の運命がもつ不思議さを生涯かけて探求した。その理論は,運命分析学(Shicksalanalyse),あるいは衝動病理学(Triebpathologie)として体系化され,臨床心理学においても独自の地位を築いている。ソンディ・テストは,彼の手による心理査定技法である。正式には,実験衝動診断法(Experimentelle Triebdiagnostik)と呼ばれ,その臨床的有用性はロールシャッハ・テストやバウムテストをしのぐと言われる。とはいうものの,ソンディ・テストはその知名度に比して,テストそのものの普及率は低い。その理由のひとつは,理論の複雑さにあるだろう。

 京都ソンディ研究会では,主宰者奥野哲也により,理論についてわかりやすく解説しながら,事例を解釈できる力を養成します。また,中・上級者へは,国内外の文献や研究報告などを踏まえながら,難解なソンディ理論についての理解を深め,研究を深めていく力を養成します。


主宰者 奥野哲也 略歴

1944年 京都市で生まれる

1967年 立命館大学文学部哲学心理学専攻 卒業

1967年 精神科病院 勤務

1969年 法務省の法務技官(心理職) 任官

1999年 徳島少年鑑別所長 就任

2000年 佛教大学教育学部臨床心理学科教授 就任

2015年 佛教大学教育学部臨床心理学科教授 退任

2015年 京都ソンディ研究会(旧:紫野ソンディ研究会) 設立

ソンディ研究会に興味のある方へ

 ソンディ研究会は、原則として第3土曜日の午後1時から午後5時まで、滋賀県草津市民交流プラザで開催しています。

 事例研究を主体としていますが、各自のトピックスや主宰者奥野哲也のこれまでのとりくみについても会員に共有しています。

 最先端のソンディ研究にも触れることができますので、少しでも興味のある方は、ぜひ一度ご参加ください。

 堅苦しさはありません。初学者の参加も歓迎です。

 参加を希望される方やソンディ学に興味のある方は、京都ソンディ研究会(主宰者奥野哲也)まで、メールにてご連絡ください。

 なお、研究会の開催予定日は、変更を含めて、当ホームページにて公開しています。

 

京都ソンディ研究会・アドレス:szondiokuno<at>gmail.com

 ※ <at>をアットマーク「@」に変えてください(スパム対策です)

ソンディ・テストをとりまく状況

1.日本の学会におけるszondi評価に関する問題

①科学性についての評価や倫理的観点からの批判について,次のように考えている。まず科学的側面での問題の指摘は,投映法が等しく有している問題であり,Szondi Testだけが該当するわけではない。ロールシャッハ法も等しく科学性は乏しいと思っている。もっとも,「科学性」とは何なのか?心理査定技法を評価する場合,投映法でまず考えなければならないのは,臨床場面において有用かどうかである。クライアントに負担をかけるロールシャッハ法をどう考えるかということであって,5分程度の短時間で実施できるSzondi Testと,実施に長時間を要するロールシャッハ法とでは,どちらが有用なのか,ということが最も重要だと考える。「臨床的な有用性(被験者に負担をかけない,臨床的な妥当性がある=科学性」である。

②日本の学会においてSzondi Testの評価が低いのは,基本的には,研究誌に投稿される論文が少ないことが最大の原因である。年間10本の論文が投稿されれば,学者や臨床家は無視できない。1本の論文で,少なくも学会において3本の口頭発表ができる。年間10本の論文×3本で,30本の口頭発表がなされることとなる。これが3年連続すれば,良い結果が得られる。有用性があるのかどうかが大切であり,科学的かどうかの議論は後回しとなる。

③この年間10本の論文を3年間継続するには,背後に多くの研究者が存在しなければならない。それはどの分野でも同様である。したがって,研究者の育成が急務となる。その研究者を育てるために,Szondi研究会を発展させ,「Szondi学会」の設立が必要になるのである。「量の変化が見られれば,それは質の変容に繋がる」,「量的変化が質的変化をもたらす」これが科学の真髄である。わたしは,上記の点を考えて努力してきたつもりだったが,学会設立へのステップを踏み間違えて,皆に論文がたくさん書けるのだろうかと不安になってストレス高め,迷惑をかけてしまったかもしれない。その後の努力もまだまだ不足していると猛省している。


2.Szondi Testの倫理的観点についての問題

①Szondi Testは,病者の顔写真であり,了解も得ていない。L.Szondi (1893-1986) の時代には,そのことは問題とはならなかった。しかし,現在では「倫理的に問題ではないか」と疑問視されている。日本でも以前は,クライエントの写真を学術本に掲載しても,問題とはならなかった。外科でも内科でも,どのような医学界でもである。クライエント本人の了解を得ず,写真を掲載していた時代が長く続いてきた。

②「日本医学大系」といった書籍類の「精神医学」という10センチを軽く超える厚い本の中にも,病者の写真が数多く掲載されていた。その本で多くの人が勉強した。私自身もそうである。しかし,そうした書籍は,現在では絶版となっている。ただし,そのような本が過去には多く出版されていたことは事実であり,その書籍を参考として臨床は成り立ってきた。しかし,以前は許されていたものが,現在は許されなくなっている。一方,以前に許されていた時代の手法を,現在に至ってもなお,クライエント理解に使用し続けている。このような手法は,現在の倫理的側面からすれば非倫理的なのかもしれないということを理解しつつも,クライエントに実施して分析結果を伝え,処遇に活かし続けているのである。なぜならば,臨床的に有用性があるからである。

③以前には許されていた時代のものであるが,現代的な感覚では,確かに倫理的には抵触しているのかもしれない。しかし,臨床ではとても有用であるのは事実であり,ロールシャッハ法よりもクライエントのためになると信じている。わたしはソンディ・テスト図版を出版していないし,販売をしているわけでない。ただ,事実としてSzondi Testから得られた結果には,有用性があるだけである。なお,Szondi Testに関する知識のある者は,図版は病者の顔写真であることは知識として有するが,検査の実施に際して,病者の顔写真であることは教示していないし,検査を受ける人はそれを知る由もないことは付言しておきたい。

奥野 哲也

ソンディ・テスト ハンドブック

 <ソンディ・テスト必携>

 ~臨床現場に必携、臨床心理査定の至宝~

 ソンディ・テストの手引書が完成しました!

 京都ソンディ研究会の会員で、年会費を納入された方には、研究会での議論に参加するための必携書として、順次お渡しする予定です。

 原則としてソンディ・テストを学んでいる会員向けの書物ですが、ソンディ・テストに興味のある臨床家や、これからソンディ・テストを習得したい初学者へもお分けすることができます(有料)。

 購入を希望される方は、下記まで連絡いただければ、手続きについて案内します。


 京都ソンディ研究会・アドレス:szondiokuno<at>gmail.com

 ※ <at>をアットマーク「@」に変えてください(スパム対策です)

研究会の会場

 ソンディ研究会の会場は,滋賀県草津市立市民交流プラザです。

 JR琵琶湖線 南草津駅「東口」の2階出口から出て,そのまま右手に進み,連絡橋でつながっている「フェリエ草津」の5階です。5階へはエレベータでしかいけませんので,注意してください。エスカレータは4階までです。

 自動車で来られる方は,隣接する市営駐車場をご利用ください。4時間まで無料です。

 なお,研究内容や参加者の状況等によって,会場を変更することもあります。


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